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【石窯カフェ ヤマト/新十津川町】

石窯で焼く本格ピザ 古民家を改装した遊び心を忘れない元自衛官のカフェ
【石窯カフェ ヤマト/新十津川町】

掲載年月:2018年2月

石窯カフェ ヤマト

企業・団体のビジョンやミッション

夢に導かれたカフェ

新十津川町の中心部から北へ国道を雨竜町方向へ進み、大和郵便局を目印に左折、広大な田園の中、夫婦山をバックに佇むお洒落な古民家が見えてきます。「石窯カフェ ヤマト」は、外観からはその建物が築50年以上も経っているとは想像もできない和風モダンな雰囲気の建物です。

ここのお店を経営している、代表の樋口修二さんにお話を聞きました。
まず、このお店を開こうと思ったきっかけは何だったのでしょうか?
「広島県福山市で生まれ、なんとなく北海道に住みたいという理由で自衛官になりました。自衛官は54歳で定年を迎えるのですが、定年後は自分でお店を作ってみたいという思いがずっとありました。」また、自宅に石窯を作って後輩を招いてピザパーティを開くこともあったそう。「皆が美味しいと言ってくれるんですよ。のせられちゃったんですね。」と笑う樋口さんですが、おそらく他の方がその場にいたとしても同じことを言うだろうと思うくらい、お店で出されるピザは本格的なものです。

なぜこの場所を選んだのでしょうか?
「定年を迎える2年位前から物件を探して、滝川市、砂川市も見てみたのですが、どこもしっくりこなかった。そんな折、夫婦山の夢を見たんですよ。それで、そういえばこの近辺はまだ見ていないなと思って来てみたんです。」道内の様々な場所でレンジャーの訓練をしたらしいのですが、その中に新十津川町にある夫婦山も含まれていました。「見た瞬間ね、ここなら良いなって思ったんですよね。あまり街中でもないし、周りには豊かな自然があるし。」訓練中、何日もお風呂に入れない中、沢の水で軽く体を拭いたり、そこにあるもので簡単な寝床を作ったり、自然の中で過ごすのは好きだったそうです。そして導かれるように夫婦山近くの物件を探し当て、持ち主と粘り強く交渉した結果、今の店舗となる物件を手に入れました。

いよいよ物件を手に入れ古民家の改装を始めます。自衛官の仕事を続けながら、木工、電気工事士、調理師等の講習を受けお店を開くための準備もしていたそうですが、お店の雰囲気はまるでプロが仕上げたような出来栄え。レトロなインテリアもお店の雰囲気を引き立てます。同じように古民家を改装してお店をやりたいと思っている方にとっても、ヤマトは非常に参考になる様で、樋口さんとお話をしに来る方も少なくありません。「ヤマト」と名付けたのは、この場所が「大和地区」という場所であることもあったのですが、言葉の語感と「国の始まり」をイメージさせる「ヤマト」のイメージが気に入ったからとのことです。

心落ち着く隠れ家

樋口さんから見た新十津川町の印象は?
「比較的栄えている滝川市にもすぐに行けますし、ちょうど良い田舎といった感じでしょうか。メニューにも出している野菜を自分で育ててもいるのですが、獣害は多少あります。ですが自然豊かな場所で好きなことができるのですから、自然の面白さ、不便さを合わせて楽しむといった心持ちも要ると思います。」と樋口さんは語ります。最初は国道沿いの店舗を探したこともあったらしいのですが、車の速度が速い北海道では見過ごされてしまう可能性もあります。国道から500メートルほど入った、まさに「隠れ家」のようなこの場所を探し当てる楽しさもあるのかもしれません。

 

始めてみて手応えはありましたか?
「最初は様々なメディアで取り上げて頂き本当に多くのお客さんに来て頂きました。」と嬉しそうな一方で、開店直後の苦労も教えて頂きました。最初はお客さんが入りすぎて2時間待ちになることもあり、趣味の延長でやっているような自分の実力に見合うのだろうかとプレッシャーを感じてしまうこともあったのだとか。開店からもうすぐ2年、お客さんの動きも落ち着いてきて、今こそゆっくり過ごせるようになったのですが、「ヤマトは混んでる」というイメージが付いてしまっているのが最近の悩みだとか。「お陰様で、定休日以外来客0の日はないですよ。遥々道外からも来てくれるお客さんのために、どんなに天候が悪くてもお店は開けるようにしています。」と樋口さんは言います。取材が終わるころ、周囲は薄暗くなっていましたが、電気の明るさもない中、灯りのついた和風モダンな建物が、体の冷えた旅人を受け入れてくれそうな何とも温かな雰囲気を出していました。
最近は、3種のキノコのピザといった「シブい」メニューを頼む常連の高校生がいて、長い時間滞在していることもあるのだとか。そうした常連の方にとっても心落ち着く空間ともなっているようです。

今後の取り組み・夢

今力を入れていることや、今後やってみたいことはありますか?
「お店も落ち着いてきたので、燻製器を作ってみたいなと思っています。それで燻製したメニューをビールのおつまみなんかで提供出来たら良いですね。いまだに勉強中なんですけどね。木の種類や火の入れ方で味が変わるって面白いですよ。自然の中でのピザ作り体験も良いですね。自分が楽しいと思うことを伝えていきたい。それと空き家を何とかしたい。農家の空き家がいっぱいあるんです。そこには納屋や倉庫があってその建物を有効活用できないかな、と思っています。例えば納屋で眠っている色々な道具の使い方を教えてあげるワークショップとかできないかなと思ってます。」

確かに、地方の農家さんは自分で農機具などを直す必要も出てくるので、様々な道具の扱いに慣れていますが、都会に住んでいる人は自分で思い立たない限り工具に触れる機会は多くありません。ホームセンターで売られている物も、何に使うのか分からないものばかりです。もし樋口さんのノウハウや農家さんの知識・技術をそうしたワークショップを通じて伝えることができれば、将来古民家を改修してゲストハウスやカフェをやりたい都会の人にとっては、大きな手助けにもなり、地方の空き家の問題解決の糸口にもなりそうです。

代表者からのメッセージ

苦労があっても尚、やりたいことがあればやれば良いと思います。ただ、近所の付き合いにも気を配る気持ちも必要ですよ。例えば野菜の育て方を教わるのに、ベテランの農家さんにアドバイスをもらうことがあります。逆に一人暮らしのお年寄りが困ってることがあって、自分にできることがあればしてあげるようにしていますし、あの家は今日も電気付いてるなとか、気にかけるようにしています。お陰で畑を耕してもらうときや、特に除雪の面では本当に助かってますよ。家の距離は遠いですが、ご近所とのそうした密な関係は大事にしたいですね。

企業・団体の魅力

最近何かと話題の古民家カフェ。都会の喧騒を離れ田舎に憧れを持つ若者も増えてきてはいますが、若者に限らず、いずれ田舎暮らしをしたいと考える中高年にも注目されています。趣味を生活にしている樋口さんの生き方はそうした中高年層にも夢を与えてくれそうです。しかしながら楽なことばかりではありません。例えば石窯でピザを焼くにも大量の薪が必要ですし、毎日の薪割りも重労働です。また協力してもらう家族の説得も必要になるでしょう。このお店が成功したのは、樋口さんが現役時代に地道に準備をしていたことも大きな要因でもありそうです。「夏の温かな北海道だけでなく、厳しさ増す冬にも来てもらいたい。苦労は多いけどやりたいことを楽しめている姿を見せられれば」と樋口さんは言います。

コーディネーターからもひと言

私自身、ピザを食べに何度かこちらのお店に伺わせてもらっていました。その時は樋口さんとお話をする機会はなかったのですが、元自衛官、厳しい訓練を積んでいる人たちなので、取材時に失礼なことを聞いて怒られでもしないかと内心少し不安でした。実際に会ってみた樋口さんは自然の中で五右衛門風呂を作りたいとか、自然の中でどうやって面白いことをするか、といったことを楽しそうにお話しくださり、やんちゃな心を持った、とても気さくな方だなという印象でした。
もしも将来、似たような夢を持っていて、相談する場が見つけられそうにない時はこちらのお店を訪れてみるのも良いかもしれません。温かな空間と夢溢れるご主人が出迎えてくれると思います。(岩見沢・滝川エリア ローカルワークコーディネーター 髙野 智樹)

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