ローカルワーク in HOKKAIDO

HOME 地域に愛される味を守って。漬けダレジンギスカンの老舗
【大畠精肉店/新十津川町】

地域に愛される味を守って。漬けダレジンギスカンの老舗
【大畠精肉店/新十津川町】

掲載年月:2018年3月

有限会社 大畠精肉店

企業・団体のビジョンやミッション

蹄鉄業から精肉店へ

新十津川町の中央部から雨竜へ向かう国道沿いに、昔ながらの懐かしさ漂う「大畠精肉店」さんがあります。昭和50年創業の地域の方に昔から愛されるお肉屋さんです。現在、代表取締役を務める大畠光敬さんにお話を伺いました。大畠さんは大学卒業後、一旦叔母の勧めで札幌の精肉店で修行を積み、3年半後には新十津川町に戻り、平成26年9月からお店の代表を務めています。
大畠さんの家では、お父さんの代まで主に蹄鉄業を営んでいましたが、農業の機械化が進み、農耕馬の数も減っていきます。本業の傍ら養豚も行っていたことから、食肉処理場に出入りすることも多く、お母さんがそこでもらったホルモンを加工して近所に売ってみることにしました。最初に販売された、その「大畠のホルモン」は地元の方の評判となり、昭和54年に「大畠精肉店」を会社として設立しました。お母さんが開発した「タレ」は、大畠精肉店の味として今でも引き継がれています。

変えるもの、変えないもの、継承するもの

ずっと昔から支持してもらっているお母さんが開発した大畠精肉店の味。時代のニーズに合わせてパッケージデザインを変更したり、サイズを小さくしたパックを作ったりはしますが、「お店を続けてこられたのもこの味があったからこそ。」と話す大畠さんは、「大畠精肉店に来てくれるお客様がいて、お客様が来てくれる理由がある。お客さんが美味しいと言ってくれる、その理由がこの味だと思うんです。」と表面の形は変えつつも、お店の核となる中身を大事にしています。
その一方、新商品の開発にも挑戦しています。ジンギスカンのニーズとしては、お盆やアウトドア等で大勢が集まって食べる夏場がメインです。季節に関係なくお店の売り上げを保つために試行錯誤を繰り返しながら、「牛ホルモン」や「もつ鍋セット」を冬の限定商品として売り出しました。こちらは地元の方にも評判は良かったのですが、本州のジンギスカンが苦手な方からの注文も多いのだとか。そしてジンギスカンだけでは厳しかった冬の間の都市部への出店の機会も増えてきました。「もつ鍋セット」を目当てに買いに来てくれるお客さんも最近は多くなり、他の商品も併せて買ってくれる方も増えたとのことです。

外に出て見えた可能性

最初の頃は近隣に住む人も多く、ほとんど地元のお客さんだけで経営が成り立っていましたが、少子高齢化の波を受け、近隣地域だけでは経営が成り立たなくなっていきます。大畠さんの代になり積極的に地域の外に出ていくことも増やしていくことにしたそうです。
都市部デパートの催事や物産展に出店し、そこで得たつながりで実店舗に買いに来てくれるお客さんも多いのだとか。札幌から出張で来られる方もいて、札幌で買って美味しかったからと実店舗を訪れ、外では出せていないアイテムを買ってくれるリピーターのお客さんもいるそうです。「外に出て声をかけてもらうことも多くなりました。」と話す大畠さん。最近は関西への出店を依頼されるなど、本州へも少しずつ進出しています。なんでも関西の方ではジンギスカンはあまり支持されないらしく、声をかけてもらった背景には「もつ鍋セット」の影響も大きかったそう。九州や関西以西では醤油・味噌味ベースのもつ鍋がほとんどで、豚骨ベースで開発した「もつ鍋セット」がバイヤーさんにウケが良いらしいです。
また、ホームページやネットでの販売にも力を入れています。最初は「出せば売れる」と思っていたらしいのですが、実店舗と同じように手間をかけないと販売もうまくいかないことが分かったそうです。「都市部での売込みもネットでの売込みも大事です。PRを続けていたら少しずつリピーターのお客様が増えてきました。」と大畠さんは話します。

地域の連携

親から店を引き継ぎ、自分でお店を営むようになって気付いたこともあるのだとか。「都会と比べたら横のつながりは強いと思います。商売をする上で助けてもらうことも多いですよ。例えば商工会に入っていると、色々な補助金・助成金の紹介を受けられます。アンケートを作ってもらってお客さんの反応を伺うこともできました。それと、町内のイベントは多いですけど、参加していると情報を得やすくなると思います。」と地元での商売の仕方を話してくれました。
また、夏場や忘年会・新年会シーズンに皆で集まってジンギスカンを食べる際には、飲み物や野菜なども必要になってきます。地元のスーパーや農協を通じて、一つの店に注文が入ったら他の店にも付随して注文が行くという、同じ地域内の連携もあるのだとか。一つの店だけでは成り立たない支え合いの仕組みを教えて頂きました。

新十津川町には「金滴酒蔵」という酒蔵があります。そこで出た酒粕を使った新商品の開発にも着手しています。まだ商品名は決まっていませんが、酒粕と味噌を合わせた「酒粕味噌漬けの素」にお肉を漬け込んだ「味噌漬けの肉」なるものを作ってみているのだとか。今後の大畠精肉店の目玉商品の一つとなりそうです。
加えて、役場から依頼されて地元のイベント限定で作った「新十津川の牛肉ハンバーグ」。新十津川産の高ランクの牛肉で作ったハンバーグは、出店するとすぐに売り切れてしまったのだとか。新十津川産の牛肉は町内では手に入りません。国産で、しかも地元産の牛肉が、もしも大畠精肉店で日常的に手に入るようになったら、ますます地域に愛されるお店になりそうですね。

代表者からのメッセージ

親が始めた商売ですが、皆さんが美味しいと言ってくれるものを提供し続けたいです。やめるのは簡単だし、続けるのは大変。だけど地域の方々が見守ってくれるし、横のつながりも強いです。イベントの手伝いに出ることも多いですが、後で助けてもらうことも多く、地元ならではの温かさも感じられます。
都会にいた時より追い立てられる感覚は少ないですし、ある程度自分のペースで商売ができると思います。

企業・団体の魅力

今でも営業や出店で町の外に出ることも多いですが、外に出てみて気付いた町の印象を聞いてみました。「新十津川町の知名度はまだまだ低いかな、という印象ですね。たまに新篠津と間違えられちゃったりします。外に出てよく言われるのが、温泉に行ったことはある、前からお店は気になってて、札幌で出店してるから覗いてみた、ということ。新十津川の知名度アップにつながる取り組みも必要になると思います。」と言います。
現在では新十津川町の「ふるさと納税」の返礼品に選ばれ、新十津川の特産品を代表する一つとなった大畠精肉店のジンギスカン。お店とあわせて町の知名度アップへの大畠さんの努力は続きます。

コーディネーターからもひと言

道内の知り合いに新十津川の印象を聞くことがありますが、「大畠さんがあるところでしょ。」とよく言われます。「ジンギスカンを買うなら大畠を選ぶ。」という方も多く、大きく店舗を広げている他のジンギスカンのお店と違い、大畠精肉店の場合は、どこか下町にある、地域の方がいつも買いに来る昔ながらの老舗というイメージです。私自身、大畠精肉店のジンギスカンや「もつ鍋セット」にはお世話になることが多いですが、今回取材させていただいて受けた印象は、地域に根差したお店作りや、自分のペースで工夫を続けるお店であるということでした。地元に愛される味を継承し、同時に販路を開拓する努力を続ける大畠さん。全国から愛される老舗ジンギスカンのお店となってもらいたいですね。(岩見沢・滝川エリア ローカルワークコーディネーター 髙野 智樹)

 

HOMEに戻る

ローカルワーク検索

エリアを指定
カテゴリを指定

TOP